自由制作研究3
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このニュースレターは、様々なものを制作し、制作することそれ自体を考える【おかふじりんたろう】が、毎月1日と15日にお届けする、制作日誌です。
「創造性」をテーマに、素材や道具との連関の話、はたまた身体の制作まで、話題は多岐にわたります。
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自由制作研究──2023年9月15日号
■目次
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… 1. 最近の制作
… 2. 身体運用
… 3. 今後の自由制作の予定
… 4.ご案内
… 5.感想・質問
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1. 最近の制作
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少しでも時間があれば、何かを作りたいおかふじ。いろいろなものを作っていく中で、新しく知ったことや考えたことなどをお伝えします。
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最近はラップのMVを作りました。ジャンルにもよりますが、基本的に自主制作において重要なのは「流れを止めないこと」だと考えています。
受託制作では、様々な関係者の要望を取り入れて、きっちり形に落とし込む必要がありますが、自主制作でそれをやってしまうと、完璧主義に陥りがちで、公開するまでにずっと手を入れ続け、それがストレスになってしまって挫折することが多いです。
ですので、自分の中である程度の形になれば、さっさと手放して、流れを殺さずチャチャッと次の制作へと向かい、その「未完成の完成品」を連発する過程で、少しづつ上達すれば良いとぼくは割り切っています。
クリエイターと呼ばれる人たちのドキュメンタリーでは、「産みの苦しみ」や「細部へのこだわり」が描写されることが多いですが、まず大前提として、そのクリエイターたちはその密着取材を受ける以前に、おびただしい数の完成を経験しているはずです。たとえば、あいみょんは事務所所属になるまでに、100曲以上作っていました。そこをすっ飛ばして素人がいきなり「細部へのこだわり」なんてやっていては、制作が全然前に進みません。
また、当然優れたクリエイターは「自分の振る舞いが作品の鑑賞に与える影響」についても深く自覚的ですので、だいたい制作秘話を大袈裟に話すものですし、「クリエイターとしての演技」も多用するので、彼ら彼女らの発言をあまり真剣に捉えてはいけません。
というわけでMVを振り返ってみれば、まあ適当もいいところでして、そもそもぼくが出演者でありながら監督としてカメラマンに指示もしないといけません。知り合いのカメラマンに頼んでもいいのですが、お金もかかりますし、なにより誰かとスケジュールの調整をしてしまうと「撮りたいときにパッと撮りにいく」ができなくなるので、思い立ったその日に、暇そうにしてる後輩にさっと連絡して、その日のうちに撮り終えてしまいました。
「ここが録画ボタンだからあとは適当に撮ってみて」とカメラの使い方をその場で教え、猛暑だったので「1時間だけ撮ったらすぐ帰ろう」ということだけ決めて、本当に適当に撮って、お礼をしてご飯を奢ってすぐ解散しました。
帰って編集ソフトに動画を並べてみると「素材不足だなあ」「ピントがズレてて使えないカットも多いなあ」と思ったのですが、「1時間だけ撮る」という上限を守らないと完璧主義に陥り次に進めません。
ですので、足りない箇所は動画生成AI、Runway Research社の「Gen-2」を少し使ってみることにしました。使ってみて気づいたのは、結局どれだけプロンプト(AIに対する指示文)をいじったところで「生成動画独自の質感」は消せないので、外ロケの時に撮った映像のあとに差し込むと、明らかに「生成した動画だな」とわかる感じになってしまいました。
ですが、画像から映像を生成すれば、MVにおける「RGBずらし」のような、瞬間的なエフェクトとしては結構使えるし、数秒から20秒前後の短めの動画で「最初から最後まで生成動画」で構成するのなら少しは使えるなと思いました。(とはいえ、数週間後にはどこまで進歩しているかわかりませんが。)
話を制作に戻すと、「撮影時間を決める」というのは「制作における制約条件を設定する」ということであり、なにもない真っ白な画用紙よりもぬり絵の方が手に迷いがないように、無限に広がってしまうイマジネーションを有限化するということに他なりません。
既に手元にあるもので器用になんとかものを作る技術を、人類学者レヴィ・ストロースは「ブリコラージュ」と呼びましたが、やろうと思えば完成するまでいくらでもリソースを注ぎ込める自主制作にこそ、自身に上手く制約を課し、それをきっかけとしてブリコラージュ的に作ることが重要だと思います。
もちろん、最初からガチガチに制約を課していると、それはもう受託制作と変わりがありませんので、その「制約の課しどころ」には工夫や経験が必要だと思いますが、とはいえ、将来の見込みがないのに、ガッツリ予算と時間を割いてMVを作ったせいで、「MVを作ること」が負担になってしまい、自然消滅していった先輩バンドをたくさん見てきているので、無尽蔵にリソースを使いまくるのも、活動の持続可能性の観点からはいただけません。
そういえば、今回のトラックは「Groovepad」という、「既に用意された音源を組み合わせることでトラックを制作できる無料のスマホアプリ」で、ほとんど作っています。
受託でのBGM制作やその他の楽曲制作は、基本的に「Ableton」を使っているので、自分で簡単にキーボードを弾いたり、MIDIを打ち込んだり、音色を作ったりするのですが、もっと簡単にあり物の音源の組み合わせだけでどんなトラックが作れるのか、というのが知りたくて実験してみました。
結果としては、やはりあり物の音源だけあってクセのないわかりやすいトラックになったなという印象でして、今回は「Groovepad」のスキルも身につきましたし、動画では「Gen-2」をいろいろ触ることもできたので、自分としては大変満足しています。
というか、ぼくはなにかを作るとき、どんなに小さくても、なにかしらのテーマや技術的な挑戦をするようにしていて、それが達成されればもう満足しています。「売れる」「たくさん見てもらえる」はオマケみたいなものです。それでも継続していれば、作品をきっかけにして技術のバリエーションや出会いも増えていくので、読者のみなさんも「流れを止めずに」どんどん作っていただきたいと思います。
今回もMVを公開したあと、DMが来て、知り合いの方の音源制作をお手伝いすることになりました。良い流れです。
2. 身体運用
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「有給休暇」という概念が存在しないフリーランスにとって、文字通り体が資本。というわけで、日々「制作の土台である身体をどう運用するか」を意識しているおかふじが身をもって調査・実験したレポートをお届けします。当然、身体は人それぞれ違いますし、健康にまつわる情報は玉石混交ですので、あくまで試行錯誤の「ひとつのサンプル」としてお読みください。
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夕食~朝食までの時間を16時間以上空ける、というのを半年以上実践しています。去年の11月にコロナに罹患してから、生活を見直そうと思いこのプチ断食を開始したのですが、これが滅法良いのです。
具体的な方法論の参考としては、『脂肪を落としたければ、食べる時間を変えなさい』という本に「14時間以上の絶食期間を設けること」が提唱されていたのでやってみたのですが、朝起きたときの体も軽いですし、朝ごはんがめちゃくちゃ美味しく感じるので、すっかり習慣化してしまいました。(このメルマガでは繰り返しになりますが、もちろん誰かと食べる食事の際は、何も気にせず食べたいものを、好きな時間に好きな量食べています。)
さて、この『脂肪を落としたければ、食べる時間を変えなさい』という本は、時間栄養学に基づいて書かれており、時間栄養学とは「人間の摂取するカロリーや栄養素というのは、サーカディアンリズムによってその意味内容が変わってくる」というのを前提にした栄養学の考え方だそうです。
たとえば、朝食を700キロカロリー取るのと、夕食を700キロカロリー取るのとでは、たとえ同じカロリー数であったとしても、その吸収の度合いや体内でのホルモンの分泌具合などが変わるらしく、こういう観点で食事を考えたことはなかったので、面白いなと思いました。
この本では、朝昼晩それぞれの時間帯で何を食べたらいいのかが細かく書いてあるのですが、まあそこまでやると面倒くさくなって続かなくなるので、「夕食~朝食の時間をなるべく空けること」「朝はガッツリ食べること」の2点だけを実践しています。
夕食~朝食の時間を空けるとオートファジーが働いてケトン体代謝に切り替わることで、まあなんかいろいろ良い事があるらしいのですが、そのへんの細かい理論は置いておいて、とにかく朝の目覚めの良さと、朝食の美味しさが素晴らしいです。
また、朝ごはんをガッツリ食べると、体内時計がリセットされたり、体温が上がり活動的に1日をスタートできたり、その日の睡眠中の脂肪が燃えやすくなったりしますし、また朝ごはんは血糖値が上がったとしてもすぐに戻りやすいので、ガッツリ食べるなら朝というわけです。
ところで、面白いなと思ったのは、時間栄養学では痩せることを目的化しているわけでは当然なくて、サーカディアンリズムを整えることで、結果として体の調子が良くなることに重きが置かれています。ですので、痩せるだけではなく、脱力感や倦怠感といった様々な体の諸症状にも、ある程度は効用があると考えられるでしょう。
思うに、生活習慣病が蔓延している現代人は、全体的な傾向として明らかに食べ過ぎですし、夜でも明るい環境で過ごせるので、ついつい生活リズムが狂ってしまいがちです。もし高額な遺伝子解析などをすれば「自分は夜型人間だった!」とか判明するのかもしれませんが、まあとりあえずの一般論として、まずは太陽の動きに合わせて活動するのが、ベターではないかと思います。
3. 今後の自由制作の予定
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今後の制作予定をお話しします。考えたり言ってるだけで、取り掛かりに数年かかったり、内容が変化する可能性も十分あり得るので、話半分でどうぞ。
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・先月は音楽制作に充てる時間が多く、耳を酷使してしまったため、今月は耳を休められる制作をメインにやっていきたいです。
・9月の下旬は仕事の都合もあって、定期的に陶芸の修行先に足を運ぶことになりそうなので、前回釉薬を塗って焼いてもらったお皿2枚が完成間近なのが楽しみなのと、インテリアとしての陶器も作りたいので、それまでに粘土をこねて削って成形しておきたいです。
・彫金による指輪作りですが、最近研磨剤を導入してから部分的には緋銅の良い色が出せるようになってきているので、成功までもう少しといったところです。
・あと早くピザを作りたい。
4. ご案内
ラップグループMCベストとして新MV「夏休み」を公開しました。
5. 【新機能】最近このメールマガジンを配信するプラットフォーム「the Letter」よりコメント機能が追加されました。感想・質問などありましたら、以下のコメント欄よりお待ちしております。ぼくだけが閲覧できるのか、それとも他の読者の方にも閲覧できるようにするのかといった公開範囲を選択可能らしいので、ぜひご活用ください。
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