自由制作研究7
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このニュースレターは、様々なものを制作し、制作することそれ自体を考える【おかふじりんたろう】が、毎月1日と15日にお届けする、制作日誌です。
「創造性」をテーマに、素材や道具との連関の話、はたまた身体の制作まで、話題は多岐にわたります。
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自由制作研究──2024年1月1日号
■目次
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… 1. 最近の制作
… 2.感想・質問
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1. 最近の制作
11月は繁忙期、12月の上旬は体調を崩していたため、なかなかこのニュースレターを書くことができず、2ヶ月ぶりの配信となってしまいました。
さて、11月の下旬には軽トラを購入し、12月下旬からは、荷台に乗せるモバイルスタジオを制作中です。
これは、キャンピングカー界隈ではいわゆる「トラキャン」「軽キャン」と呼ばれるものでして、今回作っているぼくの軽トラの場合、シェルを重量350kg以内に収めて作り、車体の構造変更申請を必要としない範囲内で荷台に固定することで、それを「積載物」として乗せてしまうというものです。
また今回ぼくは、スタイロフォームを合板などで挟んで圧着する「スタイロサンドイッチ工法」で壁や床を作りながら、なおかつ壁床天井の6面がそれぞれ1人で分解可能な組み立て式のシェルを作ろうとしています。
ネットで調べた限りだと、このスタイロサンドイッチ工法を取り入れた組み立て式のシェルを作った人は、まだこの世界にいないようです。だから、お手本となるような設計図がありません。
設計図のような、「自分の外部に存在する参照可能な型」がないと、どこをどれくらいの長さで切るのかといったことを考えるのに、意外と時間が取られます。資材の買い出しなども含めると、現時点での合計作業時間は約18時間となっていますが、正直思ったより進んでいません。
しかしながら、作業状況からのフィードバックによって、ぼんやりと頭の中にある設計図が、その都度書き換えられ生成されていく過程は、恐怖や不安、そして快感が入り交じります。
キュレーター・文筆家の上妻世海は、そのような身体の状態を「制作的身体」「制作的モード」などと呼びます。
事前の計画が常に現在進行形で書き換えられるこの快楽は、あてのない一人旅、前例の無い事業、舞台でのアドリブのパフォーマンス、といったものと同じものなのです。それらはすべて、身体が状況からのフィードバックループに開かれているということであり、それこそがクリエイティビティなのだと思います。
逆に言えば、最初から完璧に計画されている制作は、状況からのフィードバックループから身体を閉ざすことが求められます。そうやって身体を開くことを忘れていくと、フィードバックの感度やレスポンスが悪くなります。
最初は「いつか自分の作品を撮るんだ」と夢を抱いていたカメラマンが、受注仕事をこなすことに安住してしまい、いつしか自分がゼロから企画するエネルギーが無くなり、クライアントが合否を決める受注制作しかできなくなってしまった、というのはよくある話です。
まずは身体をフィードバックループに開き、設計図を現在進行形で書き換えること。ここから始めなければ、面白いものは決してできません。そう確信する2024年の元旦です。
2. 感想・質問などありましたら、以下のコメント欄よりお待ちしております
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